思春期外来(中学生、高校生)

  • ①ARMS(at risk mental state ) → 精神病発症危機状態(統合失調症の前駆期症状)   
  • 思春期におこりやすいの病気の一つに 統合失調症の前駆期といわれる病態があります。学校や家庭などに適応できないストレスがたまり、脳内ドーパミン分泌が活発になり様々な精神症状が出てきます。音へ過敏性が増し、誰かに見られているなどの被注察感、いろんな考えが浮かんできて止まらない状況(自生思考の増大)や不眠、感情の起伏の激しさなどがあり、対人恐怖や孤独感なども出現します。また病状が悪化し統合失調症を発症すると激しい自傷行為や衝動的自殺行為も出てきます。早期発見早期治療が望ましいのはいうまでもありませんが、薬物加療が必要かどうかは本人の状態次第です。まず本人のストレスを緩和してあげるのが最優先事項となります。以下の症状が見受けられると要注意です。
    ・教室に入るのが怖くて仕方がない。
    ・人から監視されているような感覚がとれない
    ・音や物音に過敏になり、眠れない。また町を歩くときはヘッドホンで音楽がかかせない。
    ・圧迫感があって電車に乗れない
    ・次から次へと不安な考え事が止まらない。考え事で眠れない
    ・根拠もなく自分の悪い噂が学校中に広まっていると思う。
    ・一人でいると急に孤独感を感じて、泣き出してしまう。
    ・頭の中にもう一人の自分がいて、話しかけてくる。
    ・リストカットなどの自傷行為が止まらない
    ・友人と会話すると心が読まれているような感覚になって、友人と会うことができない。
    ・頭の中で自問自答するのが止まらない。
    ・いくら寝ても寝たりない。熟睡感がない。怖い夢をたくさん見る。
    ・人の言葉に過敏に反応する。
    ・最近、性格が突然変わったこのように怒りっぽくなった。
    ・人が信用できなくなった。あるいは簡単に裏切ると思う。
    ・この世の中で ひとりぼっち不安が強い。
    ・人の表情が時々自分を笑っているような気がする。あるいは馬鹿にしていると思う。
    ・急に外出するのがこわくなった。
    ・考えている事が急に抜ける(物忘れ)
    ・頭の中で自分に話しかけてくる人がいる。
    ・やせているのに太っている感覚が抜けない
    ・集中力がない。人の意見が聞けない。
    このような症状が半分以上該当すればARMSの可能性がありますので、受診を進めます。しかし、本人自身がこのように自分の精神状態を説明することは希です。両親から見て、最近 急激に性格が変わったり、とくに誘因なく不登校になったり、興奮が激しい、あるいは寝たきりみたいになっていれば受診することを進めます。またこの病気の特徴は本人学校に行きたい欲求があるにもかかわらず、恐怖感で行けないことが特徴です。いろんな症状が含まれており、両親では常に接しているので、その変化に気づくことが非常に困難です。また不登校が全くなかった子供がいきなり、不登校になるケースもこの病態がおおいと思います。
  • ②原因不明の体調不良と登校拒否
  • 長時間立っていると、気分が悪くなり、座っていて急に立ち上がるとクラクラッとする。運動しても汗をかけずに、顔が赤くなり、あるいは青ざめてしまう。寝つきが悪い、眠りが浅い、目覚めが悪い、朝から体が重たい症状や肩こり、首こり、背中や全身がガチガチに固い。腹痛が繰り返しておこり、便秘、下痢を繰り返して起こすなどの症状などを訴えます。内科では診察や検査などで特に原因が見当たらないか、ストレスによる自律神経失調など問題を指摘されます。最近では受験での疲労や学校のいじめ問題、両親の不仲、母親が精神的不安定な状況になっているなど、複雑な環境となり慢性的なストレスを本人に負担がかかり抑うつ状態に陥っていることが多く散見されます。しかし、原因に関して、発達の問題があって学校適応能力が低く孤立している。家庭環境に問題がありストレスを抱えているが本人で解消しきれない。など要素がたくさんあり原因を特定できるまで時間がかかるのもよくあります。体調不良の背景には睡眠が十分でなく体力低下に伴い免疫力が落ちていることも十分に考えられます。
  • 非定型うつ病、気分障害
  • 比較的頻度が多い疾患です。特徴は過眠、過食傾向にはじまり、全身の倦怠感がつよく、家でゴロゴロしていることが多いのが特徴であります。症状の特徴の中に対人関係での過敏さがあり、ある特定の人に対して嫌悪感、被害念慮、極度の緊張が見られ、不登校になっていることがよくあります。パッと見た印象は、気分が変わりやすく遊びに行けたりもするので、まるで怠けているような印象があります。どちらかというと女子生徒に多く、HSP気質(環境に過敏体質)やパーソナリティが未熟傾向(子供っぽい、大人の考えができない)がベースとなっていることが多く、一部にARMS症状(上記記載)もあり、薬物などで社交恐怖症を取りつつ、カウンセリングなどで自我を育てていく(心を成長させる)ことも視野にいれる必要があります。
  • ④引きこもりになっている
  • ⑤強迫性障害を発症している      
  • ⑥摂食障害を発症している
  • ⑦人格形成の問題で社会に適応できない
  • 思春期になると、心が成長し人格が形成されてきます。しかし、発達の問題や養育環境の問題があって、その結果人格の問題が生じ、社会に適応できないことがあります。これは以下のあげられる項目が該当すると要注意です。
    ・みすてられ不安が強く、異性への交際相手が不特定多数
    ・友人に対して、自己犠牲を伴う奉仕活動が多い(八方美人を維持するためにはどんな方法も使う)
    ・友人や恋人への嫉妬心が半端ない
    ・他人から見た自己評価に過剰に反応する
    ・自傷、多量服薬、性的逸脱行動の習慣化
    ・対人交流への関心の薄さや状況認識の乏しさに伴う行動が多く、自己中心的で誇大な感覚
    ・万引き、盗癖、金品持ち出しの習慣化していて、嘘をつくことが多い。
    ・人に対する異常な不信感
    ・仕返しや復讐に執着する。
    ・人に故意に嫌がらせや喧嘩をしかけて、自分をどれだけ愛しているかを確認する言動や行動
    このような問題があっても、実は精神科を受診する事は非常に少なく、自覚がないことが特徴です。また本人がこの問題に悩んでいても他人に話すことを恐れ、悟られることの恐怖感もあります。しかしその問題点を本人が認識し、対処法を早期に獲得すれば予後は良いと思います。この問題は心理面接中心の治療で、薬物加療の効果はほとんどありません。
  • ⑦反抗期と受動攻撃性の違いについて
    ・受動攻撃性とは命令されたり、助言したり、注意されたりすることに対して何らかの不満を持ち、直接言い返すのではなく別の形で反発することを指します。実際、思春期を迎えるとほとんどの子供は親や教師に反発し、受動攻撃性を行動をとることがありますが、これは成長の過程で起こることで通常は反抗期と言われます。また反抗期では直接反発することもありますが、思春期の一時期を過ぎればそのような行動はなりをひそめ、徐々に協調性、調和的な態度をとっていきます。しかし病的な受動攻撃性とは、自分がどんなに損をしても、言われたことに対して 直接は言い返さず別の形で反発する行動をこします。またこの反発はなるだけ反抗しているとは思われずに 相手にたいして、しつこくいやがる行為をやり続けます。・反抗期では親や教師に反発しながらも、不登校になることは希でや引きこもることなく、社会や学校で適切な友人を作り、そこまで自分が損する行動はとりません。親や教師に反発しながらも学校やバイト生活ができているのであれば、反抗期と見ていいと思います。しかし病的な受動攻撃性では自分がどんなに損をしようとも、別の形でやり返すことをやめません。思春期でよく見られる受動攻撃性は、食事を拒否し自分を痩せさせていく(飢餓状態に追い込む)、なにか注意されるたびに体調不良を原因に登校を拒否、激しい自傷行為、部屋の中の器物破損、親のお金を盗む、万引き、常識を越えたいたずら、弟や妹へのいじめなどがあります。では、このように受動攻撃性の根本的な問題点に注目してみます。相手に注意されたり、命令されたり、助言されたりして、その通りに動いた方が良い結果が得られるとわかっていても、自分のために行ってくれたとは解釈しません。むしろ”相手の思い通りに動くことは敗北を意味する”との考えが根底にあります。命令でも指示でも依頼でも何か言われてその通りにしなくてはならないような状況になっていても、かなりの欲求不満を生じやすくなります。しかし直接、その不満や怒りが相手に表現されることはなく、相手にわからないような形式で表現されるのが特徴で、しかも、しつこいのが特徴です。なぜ直接怒りや不満を表現しないかと言うと、直接言ったら危険な状態に陥るからです。具体例では、親に直接反発すると殴られる、小遣いを減らされる、けなされるなどがあります。このような受動攻撃性が強くなる背景には、プライドの高さと自己肯定感の低さが本人に存在するのです。受動攻撃性の問題を放置すると、将来の人格形成に問題点を多くのこし、将来にDV(ドメスティックバイオレンス)傾向、パワハラなどの問題行動を起こしやすくなります。本人に受動攻撃性が高まりつつある環境では 親自身にも受動攻撃性があるかどうか判断しなければなりません。つまり親自身も子供目線で仕返しをしている場合は親が自分にも受動攻撃性があることを自覚がなければなりません。あるいは仕返しとは感じていないけど子供の行動や言動に対して感情的になっている場合は問題です。さらに子供が受動攻撃性の行動(仕返し)をしているときに無視したり回避したり、気付かないふりをするとよりいっそう受動攻撃は激しくなります。このように受動攻撃性が強まる背景に親の言葉使いが良くない点が上げられます。具体的にその例を引きこもりのとその対策で説明しています。
  • 発達障害や知的障害がベースにあり、社会的不適応を起こしている
  • 発達障害や知的障害があると、環境に不適応を起こしやすく自分で解決ができません。適時介入が必要ですが、介入をやりすぎると依存的になったり、自己解決能力が育ちません。また、不満や悩みをうまく言語化して相手に伝えることも苦手なので、悪い相手に巻き込まれやすく、上手な断る方法もできません。このように日常生活でストレスをためやすく、精神疾患を発症しやすい基盤がありますので、様子が変になれば、早期に外来を受信することをすすめます
  • 児童思春期外来について               
  • 大事なのはお子さんだけの診療だけではなく、保護者の養育相談をかねることがすごく大事と思います。お子さんがどうしても受診したがらない場合は 母親だけでも養育相談に関する受診をお勧めします。家庭で中心となっているのは母親ですので、母親が養育相談に来院、継続受診するだけでも、ずいぶん家庭環境が変わります。  
  • 思春期の問題で最も多いのは、次第に精神症状が出現しているにもかかわらず、本人もそれに気づくことができず、両親もわからず関係性が極端に悪化した場合がよくあります。もし子供が思春期に突然性格が変わり、扱いにくくなり、学校に登校できなくなった場合、多くは精神症状が出現していることが多いので、本人が受診を同意されていない場合は無理に連れてくることはせず、ご両親だけでも相談に来られることを進めます。この問題を養育が原因であったと決めつけることはよくありません。発症の原因には本人の気質、性格、学校の環境、家庭環境などいろんな要素が絡んでいる場合が多いからです。    
  • 典型的な発達障害ではないけれども、発達障害の一部の要素を持っているお子さんが多く訪れます。これを発達障害のグレーゾーンと言われ、人口の10%ぐらいはいるのではないかと思います。確定診断できる発達障害の割合は全人口の3~6%と言われていますので、かなり多いのではないかと推定できます。グレーゾーンをわかりやすく説明すると、昔では少し変わった子、風変わりな子、個性的な子と言われている時代でしたが、現代では生活環境が多様化、価値観の多様化、家族関係の複雑化など、ストレスが多い社会となっています。悪い環境に巻き込まれて、ストレス過多になって精神病を発病して不登校になる生徒もふえました。悪い環境とは家庭、学校、友人などすべてを含みます。以外に多いのは女子生徒の性的被害も数が増えて、親に状況を話せず状態が悪くなっているケースもあります。
  • 大人とは違い、児童、思春期では自我を成長させることがもっとも重要で、自我が成長すれば自分でいろんな判断ができるようになり、その結果、自己肯定感が上がり、自己責任をもった行動ができるようになります。撃たれ強く不可抗力な変化に強い自分を作っていくことが重要です。